このブログでも紹介させていただいた夢幻泡影の後の作品です。(記事は
こちら )
シングル曲が4曲も入っており、曲数も12曲と、ボリュームたっぷりなアルバムになっております。
では、一曲ずつレビューしていきたいと思います。
また長文駄文になると思いますが、よろしくお願いします。
#1 靂
靂と書いて「かみのふるめき」と読ませています。
霆(いかづち)の音から始まり、怪しい曲で来るのかと思いきや、明るめなギターリフで始まるこのナンバー。
曲調もアップテンポで、ノリやすい曲です。
詞について見てみます。
まずタイトルの靂ですが、おそらく「霹靂」のことで、雷が激しく鳴ることを意味しています。
詞の最初の部分が「此の霆(いかづち)が 翼を毟り 燃える大地の 知方(しるべ)と代える」ですが、直訳すると「この雷が翼を奪い、燃える大地への知方(導)と代える」だと思います。
つまりは、「燃える大地(=暑い地)に雨を降らせる為に、翼を奪ってそれを道しるべに代えた」と私は解釈しました。
次の部分が「言葉を無くした醜い奴も 痛みも知らない穢れた我も 生命の在処を違わぬ限り 無形の力が其処に現れる」ですが、どうも誰のことを指しているのかがわかりませんでした。
後半部分は「生命のあるところが違わなければ(『ければ』とは書いてあるが、恐らく普遍の事実』)、見えない力が現れる」ということでしょう。
次が「破れる璞の 霙の中 光る稲魂よ 揺り起こせ」「躯を 魂を」です。
意訳すると「真価が発揮されてない人が、まだ隠れている。霆よ、躯と魂を揺り起こせ!」という意味だと思われます。
ここまで書いていて僕は思いました。
これはとんでもなく長くなってしまう。なので、一文一文の訳はここまでとして、全体の解釈をまとめたいと思います。
一言でまとめると、
「生命を疑わなければ、神の力で真価を発揮できる。」
と私は解釈しました。
この詞の韻の踏み方がとても好きでして、
「此の霆(このいかづち)」「其の厳つ霊(そのいかつち)」 「生命の在処を違(たが)わぬ限り」「生命の在処疑わぬ限り」 「揺り起こせ」「有理を超せ」
など、流石は瞬火氏。絶妙な言葉選びです。同時に日本語の素晴らしさも実感しました。
さて、タイトルである「かみのふるめき」ですが漢字をあてると「神の旧めき」ですかね。
詞の中では、旧い神(年老いた神)が主役だと思います。
うーん。頑張って解釈してみましたが、結構わからないところが多かったです。
わかりやすい詞だと思っていたのですが・・・。
すみません。1曲目から長くなってしまいました、もう少しテンポよく行こうと思います笑 BPM=200くらいで笑
#2 龍の雲を得る如し
大胆な三連符から始まるこの曲。
イントロのギターのメロディーがとてもかっこよく、ミドルテンポの疾走曲(ちなみに雷舞(ライブ)だともっと速い)
歌メロが歌謡曲調なのでメタルに慣れていない人でも聞きやすいかと思います。
私が陰陽座布教するときは、この曲奨めることも多いです笑
「冴え渡る心に・・・・・・握り締めて放つ」までのハモりが最高です。
個人的には2:25の歌うようなベースプレイも大好きです。
さて、詞の方ですが、#1のように書いていくと、読んでくれる方も退屈だと思うので簡単に・・・。
全体を見てみると、神秘的な詞が多く(「蒼き赫き」「澄み渡る天」「神鳴る光」等)フィーリングで聴いても「なんかよくわかんないけど神々しい事言ってるなぁ」と笑
意訳してみると、
「私(龍=神?)は何度でも蘇る為に、皆にも魂を分けてやる。代わりに皆が死んだら、私がその魂貰ってやろう。」
、私はこのような意味だと思ってます。
#1とセットで聴くと尚良いと思います。
もちろん、個人的な解釈ですので、瞬火氏の思う処とは違うと思いますが・・・。
ここまで書いてみて気付いたのですが、#2の方がオープニングナンバーのような気がするんですよね。
詞には、「點(とも)された 其の睛(ひとみ)」タイトルの龍も含めれば「臥龍點睛」のうち三文字が使われているわけですので。
#3 彷徨える
のっけからメタルっぽさ全開のリフ。
アップテンポでノリやすく、メロディーもキャッチー、とても親しみやすい曲ですね。
ほとんど黒猫さんがメインで歌っているのですが、偶に瞬火氏が歌う部分があり、そこが個人的にかなりツボです。
歌詞ですが、「彷徨っていようが、人は飢えていればどんなときでも喰らう。どんなものでも喰らう。それが生きている証だ」といった意味でしょう。
#1#2に比べ、短いレビューですが、#1#2より好きな曲です。
#4 甲賀忍法帖
さて、陰陽座の中では最も有名な曲であろうこのナンバー。
アニメ「バジリスク~甲賀忍法帖~」のタイアップもついた楽曲です。
イントロから能管楽器の音が響き和風な雰囲気満載。
アニメのOPというだけあり、とてもキャッチーで一度聴いたら頭から離れないメロディーも良いです。
陰陽座は知らなくても「この曲は知ってる」という知り合いも何人かいたくらいです。
このタイアップについて、
作詞作曲を手掛けた瞬火は、自らの強い希望でTVバージョン(TVオンエア用の楽曲編集版)を制作させることのないように、与えられたテーマソング枠の時間内に楽曲の1番を収まるように制作した。 (出典:Wikipedia)
という逸話もあります。流石は瞬火氏。
キャッチーなメロディーとは裏腹に歌詞の内容はとても儚く救われない話であります。(一緒に逝けたという意味では救われたのか?)
下弦の月=甲賀弦之介
朧=朧
を表しています。
甲賀忍法帖を読んでいない人へ軽く内容を説明します。
甲賀弦之介と朧は恋仲にあったのですが、徳川の命令によって甲賀伊賀の忍法勝負(殺し合い)をすることになってしまいます。 それぞれは対立はしていたものの、弦之介と朧によってこれからは甲賀伊賀協力して・・・、と考えていた矢先の出来事でした。 弦之助は、自分に殺意を帯びて襲いかかった者を自滅させる「瞳術」を使い、朧は生まれながらに「破幻の瞳」というその瞳に見られると忍法が出せなくなるという、どちらも瞳に関する忍術を使います。 しかし忍法勝負が始まり「七夜盲の秘薬」という七日間目が開かなくなる薬を、朧は自ら、弦之介は伊賀の忍によって塗られてしまいます。 つまりお互いの忍術は封じられてしまったということです。 忍法勝負は進み、最終的には、弦之介と朧の二人が残され戦う訳ですが、朧は弦之介よりもはやく秘薬を塗っていたため、先に瞳が使えるようになります。 弦之介は瞳が開かず、毒や傷を受けていたため朧(=伊賀)の勝利は誰が見ても確実でした。 しかし、朧は信じられない事に自分の胸を刺したのです。 その直後、弦之介の瞳も開きます。 弦之介はその後、自害するのですが、何よりも切ないのは二人が最期まで瞳を合わせるできなかったということです。
と、このようなお話なのですが、まさにこのシーンを詞にしています。
水の様に優しく 花の様に劇しく 震える 刃で 貫いて 宿命られた 涙を 瞳の奥 閉じても 貴方を 瞼が 憶えているの
涙が出てきます。
流れる 血潮 止められない 蜜の様に零れて 徒の様に散りゆく 儚い 祈りを 掻き消して 宿命られた 二人を葵闇が 裂いても 貴方と 揺蕩う 隠り世まで
なんて切ないのか。
はっきり言わせてもらいます。この楽曲はそこら辺の恋愛の歌なんて比ではないです。
重さが違うこの歌を是非、聴いて頂きたいです。
#5 不知火
ここまで、ノリやすい曲で来たわけですが、#5はおどろおどろしいギターから始まります。
瞬火の透き通ったヴォーカルが特徴的で、ドラマティックな展開も含め怪しい雰囲気がるのに、素直に入ってくる不思議な曲です。
タイトルの不知火(しらぬい)ですが、妖怪の名前です。
かつては龍神の灯火とも言ており、海で見ることのできる妖怪です。
不知火には、決して触れる事は出来ず、近づくと遠ざかっていきます。
さて、ここまで読んで想像ついた方もいると思いますが、正体は「蜃気楼」の一種だそうです。
科学的にもこの説が有力だそうですが、妖怪愛好家としては妖怪であって欲しいですね。
#6 鬼ころし
リフがスラッシュ感満載・・・、しかしやはりサビはメロディックですね。
陰陽座らしい曲だと思います。
ベースソロもあり、ギターソロもあり、3:24と短い曲なのですが、充実しています。
しかし、若干単調かな?とも感じました。大好きなんですけどね!
#7 月花
作曲:招鬼 作詞:黒猫の楽曲。
瞬火氏が作った曲とはまた違った美しい旋律とサビのハモり。
瞬火氏の艶やかなヴォーカルがたまらないです。(もちろん黒猫さんも好きですよ笑)
メロディーもキャッチーで聞きやすい曲です。陰陽座初心者にもお勧めです。(メタルっぽさは無いですが)
この曲は聴いてると引き込まれます。私は別世界に魂が飛んでいった様な感覚になります。
とても集中して聴きたい曲です。
詞ですが、民話「月見草の嫁」というお話を題材にして書かれたそうです。
内容が「福娘童話集 きょうの日本民話」というサイト様に載っていたのでリンクしておきます。
こちら 甲賀忍法帖もそうでしたが、切ないお話ですね・・・。
それにしても、このような短い民話からここまで広げられる想像力。流石です。
私もこのくらい想像力豊かだったらなぁ、と思ってしまいますね笑
#8 蛟龍の巫女
メロスピきました。ど真ん中です。
流石は瞬火作曲・・・・・・・・・、「え!?作曲:黒猫!?!?」
素直に驚きました。
作詞:瞬火なのは黒猫さんが曲を作った時に、瞬火氏が「これは蛟龍の巫女だ」って言ったらしいです。
黒猫さんは作詞→タイトル付けなので、先にタイトルを付けられてしまい作詞を瞬火氏がやることになったそうです。
これどこで読んだか忘れてしまいましたが、確かWikipediaだったような・・・。ソース未確認です、すみません。
それにしても曲聴いて「蛟龍の巫女」って言葉が出てくるあたり、想像力が凄い・・・。
とてもカッコイイ曲で、アルバム臥龍點睛の中でもメタル感を一番出してる曲かもしれません。
#9~#11
組曲「義経」~悪忌判官
組曲「義経」~夢魔炎上
組曲「義経」~来世邂逅
陰陽座の魅力の一つである「組曲」。
まずは、瞬火氏がBARKSにて短い曲解説をしているものがあってのでそちらを引用させていただきます。
組曲「義経」~悪忌判官 アルバム『臥龍點睛』の先行シングルとして三部作組曲を三ヶ月連続でリリースするという試みで発表された、源義経を題材にした一大叙事詩。疾走感と扇情感、そして高揚感を備えたこの楽曲で組曲が幕を開ける。
組曲「義経」~夢魔炎上 源義経を取り巻く物語の中心部分を担う超大作。14分という演奏時間をそのまま感じる聴き手はいないと断言できる、目眩い展開と狂おしい歌唱、そして激情を揺さぶる語りにより紡がれる壮絶な人間絵巻。
組曲「義経」~来世邂逅 『組曲「義経」』のエンディングを飾る感動的なバラード。全てを失って死の淵にたたずむ静御前の心情を、黒猫が全身全霊で歌い上げる。冒頭の「~悪忌判官」から合計23分に及ぶ一大叙事詩は静かに幕を閉じる。
歌詞に解説は、歌詞カードに叙文が載っており、解説しようとしても、ほぼ引用になってしまうので軽い解説のみにします。
#9
思わず右手をあげて「オイ!オイ!」とやりたくなるこのナンバー。
「かっこいい!」その一言です。
ハモリ、ギターソロ、イントロアウトロ・・・、総てにおいて満点です。
詞の意
義経が兄・頼朝に対して
「兄よ、望むならば、その渾てをわたしが呉れてやろう。その代わりに、わたしはあなたの愛がほしい(歌詞カードより引用)」
という思いを歌っています。
#10
14分近くあるこの楽曲。#9からゴングバスで繋がっており、初めて聞いたときこの「繋がっている」というのに感動しました。
陰陽座からメタルに入った私は、この「繋がっている」というのが初めての経験だったので・・・。
前半は#9の疾走感とは打って変わって、スローテンポで怪しい雰囲気。
前半の綺麗なメロディーから打って変わって5:49からの疾走感。このドラマティックな展開は興奮します。
その後台詞が入り、また疾走感は無くなるのですが、9:34からまた違った盛り上がりを見せます。
また台詞が入り、ギターソロへと続くのですが、これがまた切ないフレーズでたまらないです。
そしてラストのフレーズへ、ストリングスも綺麗で鈴の音と共に終わり、#11に続きます。
詞の意
兄の思惑通り、平家を討伐した義経であったが、頼朝の謀略によって「謀反者」の汚名を着せられてしまいます。
さらに、頼朝は「義経討つべし」と決心──。
義経は兄の謀略を信じたくないものの、命を狙われるまで至っては逃げるしかありません。
そのときに愛人である静御前と生き別れになってしまいます。
そのときお腹に居た義経の子ですが、この子も生まれてから頼朝に殺されてしまいます。
一方義経も、炎上する衣川の高館で失意の中自害を決心しました。
#11
儚いメロディーのストリングスから始まるこの楽曲。
黒猫さんの哀しげな声がなんとも言えず、涙が出ます。
とくに「もう一度 逢いたい」などの表現力が素晴らしいです。
ギターソロもまた切なさを綺麗に表現しています。
陰陽座の表現力の素晴らしさに驚かされました。
詞の意
静御前は義経と生き別れ、愛する子も頼朝に惨殺されてしまい、それを自らの罪と咎めます。
そして。。せめて来世で邂逅(思いがけなく出逢う事)する望みをお抱き、現世に別れを告げます。
#12 我が屍を越えてゆけ
#11とは打って変わって、アップテンポのお祭り曲です。
せっかく直前で哀しい気持ちになってるのに、この明るい曲です。裏切られました。もちろん良い意味で!
全部聞き終わって明るい気分になってもらいたいっていう瞬火氏の思いでしょう笑
楽しくなれればそれでいいのです!明日に向かって希望の持てる歌です。
全体を通して一言。
このアルバム、素晴らしいけど深すぎてレビューが難しい!
とくに#1#2は苦労しました。けど頑張りました笑
楽曲は割とキャッチーな曲が多くて、メタルと言われるとちょっと「?」となりますが、これから陰陽座聴こうとしてる人に奨めるには良いかもしれないです。
さてこのアルバムの中で好きな曲を決めたいのですが、非常に難しい。
全部好きなんですよ。
強いて言うならば、
#2 龍の雲を得る如し
#3 彷徨える
#4 甲賀忍法帖
#7 月花
#8 蛟龍の巫女
#9~#11 組曲「義経」
あれ?ほぼ全部・・・。
いや、他の楽曲がこれに劣っているという訳ではありません。
全部好きなんです。本当に。その中でも特に良かったのが上記の8曲です。
その中から1曲。組曲「義経」~悪忌判官
VIDEO 以前に私のブログで「あまり動画貼り付ける気が無かったのですが~」とか言っておきながら、貼ってしまいました。
理由は他の人のブログを見ていて、「曲があった方がやはり良さが伝わる」と思ったからです笑
このアルバムはメタル感が少ない気がするので、メタル慣れしていない人に陰陽座布教するにも良いアルバムだと思います。
ここまで読んでくれた方なんて本当にいるのか不安ですが、もし居たら本当にありがとうございました!
またまたかなり長くなってしまいましたが、魂込めて書いたので、読みながら笑ってやってください。
では、また次の記事にて!
※追記
先ほど、twitterにてこの記事を読んでくださった方が指摘してくださいました。
※ちたにっくさまに掲載許可頂いています。
歌詞を見直す私・・・。
・・・・・・!!!!
たしかにそうでした!勉強不足、そして読解不足、大変お恥ずかしいです。
しかし、こうやって陰陽座楽曲に対する理解が深まるのは大変喜ばしいことです。
ちにたっくさん、この度は情報ありがとうございました。
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